世の中はクロースド・クエスションからオープン・クエスションへ

    最近、AIの進化が急加速しており、脅威さえ感じます。情報を吸収する力においては人はAIにかないません。これまで人間がこなしていた仕事の多くもAIにとって代わられるでしょう。

    だからこそ、人間の強みというものを考えさせられます。

    私たちに重要な事の一つは自分の意見・考えを持ち、決断を下す力を鍛えることだと考えます。

    さまざまな場面での変化

    それらを反映するようにさまざまな場面で変化が起こっています。

    前職で社内のリスク管理体制においてのヒアリングシートが、定期的に、金融庁から渡されておりました。

    以前はコントロールベース、つまりこれこれの体制は整っているか、このようなルールや規制はあって遵守しているかなどの対策ベースでの質問でした。
    いわゆるクロースド・クエスションです。

    それがあるとき、リスクベースでの質問に変わったのです。オープン・クエスションです。

    例えば情報漏洩を防ぐために何を行っているかというような、答えが多岐にわたるような質問を投げかけて来るのです。

    それに対する自社の答えを考えることで、対策が十分なのか、他社はどのようなことをしているのかなどさらにリスク管理を向上させる疑問が浮かんでき、さらに対策を強化しようと考えます。

    対策が弱い部分に関しては、対策を強化するのか、リスクを許容するのか、など判断を下さなければなりません。

    話が少しずれますが、私は小中学生用の塾も開室しております。
    こちらでもいわゆるクロースド・クエスションからオープン・クエスションに変わりつつあります。

    例えば、クロースド・クエスションでは、「フランシスコ・ザビエルが日本にやってきたのはいつか、そして日本に何を普及させようとしたか。」でした。

    しかし、オープン・クエスションになってから、「フランシスコ・ザビエルが日本に来てキリスト教を普及させようとしたが、そのやり方はどうだったか、またその出来事は日本にどのような影響を及ぼしたか」というような質問体系に変わっています。

    私は暗記はあまり得意ではないのですが、その当時のことを想像して”適当”に答えるのが得意な方なのでWelcomeな変更です。

    しかし生徒さんたちにとっては、”正しい”答えがわからないため、空欄で出すことも多いです。そこで私はなんでもいいから書きなさい、とアドバイスします。なぜなら空欄だと0点ですが、何か書けば1点でも2点でも点数をもらえるからです。

    学生にとって点数を取ることは大切ですが、例えば歴史であれば、オープン・クエスション式で本当の意味で歴史を学び、その学びをこれからの世の中に生かす、判断材料にするということが可能になるのです。

    BCPとの関係

    有事の際、どのように、どのレベルで事業継続できますか。

    それらの問に事前に準備している会社は、社会的責任を果たすことができる企業ということで、取引先として選んでもらうための重要な強みとなるでしょう。

    しかしBCPがあるだけでは不十分です。社会的責任を果たすためには、実行力のあるBCPが必要です。

    BCPを策定し、担当者への周知、担当者同士の連携、実際の対策実施等、定期的な訓練、物質的な準備が必要となります。

    災害が起こっても、社会的責任を果たすためにはどうするか。このオープン・クエスションへの解答の一つとしてBCPを準備いただきたいと思います。

    そして災害が発生した場合には、そのBCPを基に事業を継続する決断を、迅速に下すことができるでしょう。