BCPを策定するメリット~ステークホルダー(利害関係者)への影響から探る~
事業が止まるということは、自社に影響を及ぼすだけでなく、顧客や取引先、関係会社、地域社会などのさまざまなステークホルダーへ影響を与えます。
事業継続計画が無いということはステークホルダーからの信頼を欠くことになります。
詳しく見ていきましょう。
目次/Contents
BCPがないことで・・・
業務の中断
BCPがなければ有事の混乱に対して、企業はより脆弱になります。その結果、ダウンタイムが長くなり、製品やサービスを提供できなくなったり、生産性が低下したり、金銭的な損失が発生したりする可能性があります。
復旧時間の増加
明確な計画がないと、復旧プロセスは無秩序で非効率的になりがちです。重要業務を回復するのに必要なステップを特定し、必要なリソースを見つけ、復旧作業を調整するところから始めることになります。そのため、通常業務の再開にかかる時間が大幅に長くなる可能性があります。
財務上の損失
ダウンタイムや業務の混乱は、企業にとって大きな財務的損失をもたらす可能性があります。顧客の注文商品やサービスを提供し収益を上げることができなくなると、企業の収益に悪影響を及ぼします。さらに、有事の際はその場しのぎの意思決定や資源配分のため、コストが高くなる可能性があります。
風評リスクの増加
BCP策定などの事前の危機管理や対応を怠っていると、風評リスクが増します。顧客や取引先などのステークホルダーは、企業の有事の対応能力に対する信頼や信用を失い、ブランドや顧客関係に長期的な悪影響を及ぼす可能性が高まります。
法的・コンプライアンス上の問題
特定の業界では、規制や法的義務を遵守するために、事業継続計画を持つことが求められています。BCPを策定していない場合、コンプライアンス違反となり、法的な影響や罰則の可能性にさらされる危険性が増します。
従業員指導の欠如
有事の際、明確なガイダンスがなければ、従業員はどのように対応すればよいのかわからず、混乱やパニック、非効率的な意思決定が生じ、さらに悪影響を及ぼす可能性があります。
不十分なデータ保護
BCPが無いということは、適切なデータバックアップやリカバリーの仕組みが構築されていない可能性もあります。このため、重要なデータが紛失や破損の危険にさらされ、重大なデータ漏洩や顧客情報の漏洩、コンプライアンス違反につながります。
ビジネスの機会損失
BCPを策定していない場合、危機発生時や危機発生後の潜在的なビジネスチャンスをつかむことが困難になります。事業継続計画を策定している企業は、適応してマーケットシェアを獲得するのに有利な立場にある一方、準備不足の企業は不利な立場に立たされるのです。
ステークホルダーへの影響
お金の問題
- 企業価値の低下により株主の資産を減少させることになる
- 従業員への給与の支払いが困難となり、従業員やその家族の生活を脅かす
- 取引先への支払いが滞る又はできない
- 業績が悪化し金融機関からの融資が受けにくくなる
法律や規制関連の問題
- 法律で義務付けられている業務や、協定に基づく業務が滞ることで行政処分等のお咎めを受ける
信用低下や機会損失
- 製品やサービスが提供できずに、お客様の信用を失う
- 地域社会や取引企業の期待に応えることができない又は信用を失う
- 競合他社にシェアマーケットを奪われる
BCP策定によるメリットとは
事業継続計画を策定しておくことで、有事の際でも比較的早い段階で事業再開を見込むことができます。
取引先に関して言えば、取引先もビジネスを止めるわけにはいきませんから、有事の際でも事業を継続できる企業との取引は継続される可能性が高いと言えます。
そして事業を早い段階で再開することで損失も抑えることができるので、業績の悪化もある程度回避することができると言えます。
迅速な事業の再開ができれば、財務上の損失、風評被害、法的コンプライアンス違反を避けることができます。
さらには有事の際の迅速な事業再開ができるということは、有事に強い企業としてシェアマーケットの拡大も目指すことができるわけです。
BCPは有事の際に準備しておくものであり、後回しにされがちではありますが、このように新規取引先との取引獲得または既存の長期取引、社会的責任を果たす体制の整っているという企業イメージ、従業員やその家族を大切にする企業だということを示すことができるツールです。
そう考えるとBCP策定のメリットは有事の際に備えるという以上のものがあると考えられます。