中小企業庁による「事業継続力強化計画」ー実際に認定申請してみた。
中小企業庁による「事業継続力強化計画」(以下、省略名称「ジギョケイ」とする)の認定制度というものがあります。
認定されるメリットは何なのか、申請手順、認定中、認定後の対応などについてまとめました。
また、BCPを策定するのとどう違うのか、本当に中小企業にBCPの意識を高めることができる認定制度なのかを検証してみました。
目次/Contents
概要
1. 特徴
特徴1 BCPよりも簡単に作成できる。
BCP要素を取り入れつつ、マニュアルや記載項目も整っているため、より簡単に作成できるような構成になっている。必要で重要な対策等も短時間でまとめられる。
特徴2 単独型と連携型があり、連携型は特に強固なBCPと成り得る。
国内外の他の企業と連携することで、有事の際の事業継続を強固なものとすることができる。連携先の検索についてもジギョケイのセミナーなどで紹介している。
特徴3 国の認定を受けることで、以下記述のメリットが受けられる可能性がある。
ジギョケイは国の認定制度です。認定されることで社会的な信頼を得られるだけではなく、実質的なメリット、例えば低利融資や税制優遇措置を受けられる可能性があります。
(但し、金融支援や税制措置を受ける場合には、関係機関(日本政策金融公庫や信用保証協会等)の審査が必要になりますので、適用対象者の要件や手続きを事前に確認することをお勧めします。)
2. メリット
ジギョケイで認定されると以下のメリットがあります。
貴社が恩恵を受けらえれるメリットがあるか確認してみてください!
メリット1.金融支援日本政策金融公庫の低利融資、信用保証の別枠など、計画の取組に関する資金調達支援
メリット2.税制優遇認定計画に従って、取得等をした対象設備について、取得価額の20%の特別償却
メリット3.優先採択計画認定を受けた事業者は、ものづくり補助金等の審査の際に加点
メリット4.損害保険会社等の支援連携をいただける企業や地方自治体等からの支援措置
メリット5.社会的信用中小企業庁HPでの認定を受けた企業の公表
メリット6.ブランド力向上認定企業に活用いただけるロゴマーク
【更新】(連携)事業継続力強化計画(ジギョケイ)認定後に利用できる公的支援施策
https://kyoujinnka.smrj.go.jp/knowhow/nintei/
認定の申請方法
1. gBizIDを取得します。
まず、gBizIDを取得するため、サイトにアクセスし、必要事項を記入し申請します。
gBizIDアカウントの取得には2週間ほどかかるということでしたが、私の場合は1週間ほどだったと思います。
そこからログインしたアカウント上で「gBizIDプライム」に変更しました。
左の方に「gBizIDプライムに変更」などというボタンがありそちらから変更しました。
こちらへの変更は比較的簡単に終わりました。
ちなみにこちらのgBizIDを取得することで、ジギョケイだけでなく、さまざまな申請がオンラインでできるようですので、確認してみると良いと思います。
2. gBizIDを取得中に「策定補助ツール」を使用して実際に検討、記載していく。
「策定補助ツール」は認定申請に必要な項目が、申請する順番に載っておりますので、それらを埋めていきます。
ダウンロードはこちらのページの「申請用計画作成補助ツールをダウンロードする」から。
こちらを作成していくにあたり、さまざまな手引きや動画が配信されておりますので、確認しながら作成していきます。
「事業継続力強化計画」(単独型-1社のみで作成する)の作り方についてはこちら。
「事業継続力強化計画」(連携型-2社以上と共同で作成する)の作り方についてはこちら。
3. 事業継続力強化計画電子申請システムにアクセスし、申請する。
ここまで来たら、gBizIDを使用して
7月6日に最初の申請を送付。
その後、何度か不備連絡があり、修正しました。
最終提出日は8月15日頃。
そして認定の連絡があったのが、9月22日となりました。
実際に認定を受けた感想
1. セミナーでの講習会
セミナーは無料で受講することができ、事業者向けの「知る」と「作る」、また支援者向けで分かれています。
内容はジギョケイの内容のみならず、BCPに関する情報やお役立ち情報もあるため、勉強になりました。
2. 難易度
何度か不備の指摘があり、細かいところまで確認してくれているんだな、という印象を受けました。
私の場合は地震災害を想定しました。
個人事業のため、事業所や設備、経済的、人的要素など影響が一般の会社よりは少ないため、シンプルに事業所と使用している自宅のこと、自分と家族の安全、データの保管にほぼ焦点を当てて解答しました。
解答事項もはっきり項目が分かれている上、項目数もそれほど多くないため、実際に災害にあった時のことを想像できれば、それほど難しい作業ではないと感じました。
3. 認定を受けるだけで十分か?
BCPの策定はこうするんだと実際にハンズオンで想定、BCP策定、文書化ができるため、とても良い制度だと思います。
シナリオが一つだけで申請できるので、この制度をきっかけとして、他のシナリオを想定し、BCP策定してみるのが良いと思います。
特に地震や水害などにおける設備の準備は、相反する場合があります。
例えば、地震に備えて設備を低い位置に固定したところ、水害にあって水没してしまった、ということもあります。
さまざまなシナリオを想定し、同時にリスクを把握し、リスク分散、許容、回避、低減など、さまざまな側面を考えていくことが重要です。
4. まとめ
ジギョケイのセミナーを受講し、実際に申請、不備の修正、認定まで約2か月ほどかかりました。
申請内容は細かく確認してくれ、修正点は具体的に指摘していただきました。
申請システムも、ログオンするたびに、2段階認証なのが少し手間だなとは感じましたが、申請ボタンを押すだけで申請できるので、便利だなと感じました。
時間もそれなりにかかりますが、さまざまなメリットがありますし、何といってもBCP策定の第一歩となりますので、個人的には素晴らしい制度だと感じました!
私の事業は認定を受けましたので、これからこのマークを使用することができます!